アルコールはいびきや睡眠時無呼吸症を悪化させる
睡眠時無呼吸症候群と関係が深いのが「お酒=アルコール」です。
普段はいびきをかかない人でもお酒が入ると別です。
酔っ払って「いびき」をかいて家族にうるさがられる方も多いのではないでしょうか?
特に就寝前のアルコールの飲酒は、睡眠の質を大きく低下させるだけでなく、睡眠中のいびきや睡眠時無呼吸症を悪化させる原因になるのです。
「いびき」の仕組みおさらい
まずは、いびきの仕組みからおさらいしてみましょう。
そもそも何故人は、いびきをかくのでしょうか?
いびきを定義すると、睡眠中に狭くなった気道(空気の通り道)が震えて振動し音を出す症状ということになります。
日中起きているときは呼吸してもいびきなどかきませんよね?
気道は、筋肉で支えられていますが、もともと幅の狭い器官です。
画像引用:ウィキペディア
しかし、睡眠中は身体も休んでいる状態なので筋肉もまた弛緩してしまいます。
その為、喉や気道周りの筋肉が弛緩し、舌が落ち込みやすくなるため、更に気道が狭くなります。
すると、呼吸する際に狭い気道内を空気が通る際に圧力が加わり、喉や気道の震えによって大きないびきが発生するのです。
通常は、息を吸ったときにいびきをかくのが普通ですが、息を吐くときにかくいびきもあります。
アルコールと「いびき」の関係は?
アルコールには筋肉を緩める作用があります。適度なお酒で心身ともにリラックスできますよね。
ただ、飲酒後の睡眠は、舌を支える筋肉がゆるみ、舌が喉の奥に落ち込んで更に気道が狭くなります。
また、身体がアルコールの血中濃度を下げようとするためより心拍数も呼吸数も増加します。
すると、より沢山の空気を取り込もうとする結果、さらに気道の震えも大きくなり、いびきの音も騒がしくなるわけです。
【アルコールと「いびき」相関の関係】
睡眠中の筋肉弛緩
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アルコールでさらに弛緩
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気道がより狭くなる
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大量の空気が流れる
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喉や気道の振動も増大
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いびきが大きくなる
また、アルコールは寝つくまでの時間を短くする効果があります。
しかし、目覚めるまでの睡眠のリズムを見ると眠りが浅くなる傾向があることも事実です。
寝つきは良くても喉が渇いたり、目が覚めて寝れなくなったりなど、途中覚醒・早期覚醒の原因になります。
また、利尿作用により、すぐにトイレが近くなったりするなど、眠りの質は明らかに低下してしまいます。
アルコールを摂取すると口呼吸に成り易い
また、アルコールには、血管拡張作用があります。
飲酒後は鼻腔内の血管も拡張するため、粘膜周辺の毛細血管が膨張して鼻づまりを起こしやすくなります。
すると、鼻呼吸がしにくいことから口呼吸になりやすくなり、舌が落ち込むことで気道をふさぎ大きないびきをかきやすくなります。
アレルギー性鼻炎などの症状を持っている人などは尚更ですよね。
いびきをかく人のほとんどが口呼吸をしていることがわかっています。
普段いびきをかかない人が、アルコールを飲むと大きないびきをかくようになるのは、口呼吸が原因の場合が多いようです。
口呼吸が睡眠にとって悪い理由は、「いびき」だけでなありません。
鼻呼吸であれば、吸い込まれたウイルスや有害物質の多くは、鼻毛や鼻の粘液がフィルターの役目をしてくれて体内に入る前に除去されます。
そして、適度に湿り気のある鼻腔が、加湿器の役割をはたして外部からの空気を直接肺に取り込むことを防いでくれます。
一方、口呼吸はそのようなフィルターの役割はありません。
口から空気を直接体内の舌や喉、肺に取り込んでしまうため、喉が乾燥したり、特に冬場は風邪やインフルエンザなどにも掛かりやすくなります。
また、ドライマウスや口臭などの症状の原因にもなるわけです。
睡眠時無呼吸症を悪化させるアルコール
無呼吸や低呼吸により睡眠中の血中の酸素濃度が落ちると、睡眠と覚醒を繰り返してしまいます。
アルコールが睡眠時無呼吸症を悪化させることもわかっています。
前述でもありましたが、アルコール摂取すると睡眠中の筋肉の弛緩が大きくなるため、舌が喉に落ち込みやすくなり気道がさらに狭くなります。
また、鼻詰まりにより鼻呼吸が難くなるため、必然と口呼吸になります。
すると、さらに体に必要な多くの空気を口呼吸で補おうとするため、気道に沢山の圧力がかかりいびきがより発生しやすくなりるという悪循環を引き起こします。
つまり、アルコール摂取後は普段より睡眠中に呼吸が止まりやすくなる条件が整っているわけですよね。
寝酒は睡眠の質も低下させる
アルコールの分解時に発生するアセトアルデヒドの影響で、寝つきがすぐに深いノンレム睡眠(体は緊張しているが、脳がぐっすり休んでいる状態)に陥ります。
ただし、睡眠の後半にはレム睡眠(体は休んでいても、脳が活発に動いている状態)が通常より増加するため、交感神経の活動が高まってしまい睡眠の持続性が低下します。
深酒したのに浅い眠りが続き、朝早く目が覚めたり、途中で起きてしまうのはこのためです。
サイト内の「睡眠時無呼吸症のノンレム睡眠レム睡眠の特徴」をぜひ参考にして見てください。
少量のアルコールても無呼吸や低呼吸の数が増加
睡眠時無呼吸症候群の場合、アルコールの影響下にあると覚醒までの時間が普段より長くなるため、無呼吸時間も長くなってしまいます。
少量のアルコール摂取であっても無呼吸や低呼吸の数が明らかに増加し、アルコールの血中濃度が高いほどその影響は大きい言われています。
もちろん、睡眠中の無呼吸状態が深刻になれば体に様々な影響が出てきます。
実際に睡眠時無呼吸症候群の人が、アルコールを摂取することで心臓発作、脳卒中、糖尿病、ED(インポテンツ)などの合併症のリスクがさらに高くなることも報告されています。
EDは、男性にとって他人事ではない問題ですよね。サイト内でもED(勃起障害)と無呼吸症候群の関係が詳しく説明していますのでぜひ参考にしてください。
アルコールには、眠りを誘う効果があります。しかし、寝酒の習慣は無呼吸症候群を悪化させる原因になることをしっかり自覚しておきましょう。