睡眠時無呼吸症の人は睡眠薬の服用は原則禁止
睡眠時無呼吸症候群に対する睡眠薬(睡眠導入剤)の使用は、原則禁止されているそうです。
特に、長期間のベンゾジアゼピン系の睡眠薬の服用は、無呼吸症の症状をさらに悪化させるといわれています。
いったいその理由は何故でしょうか?
「睡眠時無呼吸症と睡眠薬の関係」を探る前に、まずは睡眠薬について少しおさらいしたいと思います。
睡眠薬とはそもそもどういうもの?
ウィキペディアによると
睡眠薬とは、不眠症や睡眠が必要な状態に用いる薬物である。睡眠時の緊張や不安を取り除き、寝付きを良くするなどの作用がある。眠剤、睡眠導入剤、催眠薬とも呼ばれる。多くは国際条約上、乱用の危険性のある薬物に該当する。
とあります。
簡単いうと、脳内中枢神経に対して薬の作用で無理に興奮を抑えて眠らせるわけですね。
睡眠薬は、商品や成分によって効き目の持続時間が違います。
効き目による分類は大きくわけて、超短時間作用型、短時間作用型、中間作用型、長時間作用型の4つです。
画像引用:https://goo.gl/PkF3Fd
一般的に寝つきは良くなるので、睡眠に障害をもつ方の中でも「不眠症」や「入眠障害」など寝付くことができない人には向いています。
但し、効果時間の短い睡眠薬ですと夜間に覚醒を繰り返すために「中途覚醒」や「夜間頻尿」などの方には向いていません。
逆に、長時間効果を発揮する睡眠薬は、途中覚醒などには確かに有効ですが、薬の影響のために日中にまで眠気を持ちこしてしまうこともあります。
睡眠薬の副作用は?
睡眠薬は文字通り「薬」です。従って、効果効能はもちろんですが、副作用もあります。
<睡眠薬の主な副作用>
●依存性が強く、睡眠薬を辞めることが出来なくなる
●寝起きの悪さやふらつきや脱力感などに襲われる
●他の薬との飲み合わせにより逆に緊張が高まったり、精神が不安定になる
●反作用の影響で睡眠薬の効き目が徐々に少なくなる
●筋弛緩作用により筋肉に力が入りにくくなる
睡眠薬の長期服用、多量摂取、薬の併用などにより薬物依存や認知機能障害などの副作用リスクが高くなります。
そのため、睡眠薬に対して強い抵抗感を示す人が多いのも事実です。
【睡眠薬服用に関する不安や心配】
画像引用:厚生労働科学研究班・日本睡眠学会ワーキンググループ作成「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」より
睡眠薬のある作用により無呼吸の回数が増える?
ではなぜ、睡眠時無呼吸症候群の人が睡眠薬を服用してはいけないのでしょうか?
専門家の話によれば睡眠薬の多くは、一般的にベンゾジアゼピン系という薬が処方されているとのこと。
有名なハルシオンなどはこのベンゾジアゼピン系の睡眠薬です。
【現在よく使われている睡眠薬の4つのタイプと薬品名】
※は化学構造がベンゾジアゼピン系と異なっている薬
引用:睡眠学の権威が解き明かす「眠りの新常識」より
このベンゾジアゼピン系薬には、催眠を促す作用はもちろん、不安を取り除く抗不安作用や筋肉の緊張をや和らげる「筋弛緩作用」があります。
この筋弛緩作用が無呼吸症状にとっては良くない作用なのです。
つまり、睡眠時無呼吸症候群の人が睡眠薬を服用すると、筋弛緩作用により一層喉の筋肉が緩んでしまいます。
その結果、さらに気道が狭くなり、大きないびきをかいたり、睡眠中に呼吸が止まる回数が増えてしまう場合があるのです。
睡眠時無呼吸症候群に睡眠薬の服用は根本的な解決にならない.!
最近では、筋弛緩作用も弱いと言われる非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬や筋弛緩作用がないメラトニンの働きを促す睡眠薬(メラトニン受容体作動薬)も使用されているようです。
ただ、そもそも睡眠薬を服用したからといって睡眠の悩みが無くなるとは限りません。
睡眠時無呼吸症候群の症状をもつ方は、無呼吸や低呼吸が原因で夜中に目が醒めたり、熟睡感がなく、いつも眠たい状況下にいます。
確かに、睡眠薬の影響で寝つきは良くなるかと思います。
しかし、それも一時的なもので無呼吸や低呼吸によるいびきや途中覚醒を含め、睡眠の質自体が根本的に改善されるわけではないのです。
また、睡眠薬はどの薬でも依然性があるため、徐々に効かなくなっていきより大量の薬が必要となる可能性を持っています。
睡眠時無呼吸症候群の人がどうしても睡眠薬を飲みたい場合は、素人判断をせずに専門家に相談することをお勧め致します。