睡眠時無呼吸症を含む睡眠障害が原因で過去に起きた世界の大事故
睡眠時無呼吸症などの睡眠障害が、日中の眠気や疲労感など仕事や勉強に及ぼす影響は数えればきりがありません。
それが原因で、
「一夜付けの試験勉強が間に合わなかった」
「電車で居眠りをして駅を乗り過ごした」
「大事な会議で寝てしまった」
など、苦い経験をお持ちの方も多いと思います。
失敗談として笑って過ごせる程度ならよいのですが、これらの睡眠障害が交通事故や人身事故など生命の危険を伴う大惨事につながる場合があるのです。
ブログ内の睡眠時無呼吸症候群と増加する交通事故でもを紹介しましたが、同様な事故が日本だけでなく世界中で起きています。
そこで、睡眠時無呼吸症を含む睡眠障害やそれに伴う度重なる疲労により起こった事故事例をいくつか紹介したいと思います。
原子力発電所「スリーマイル島原発事故」(1979年/アメリカ)
アメリカのペンシルベニア州スリーマイル島の原子力発電所で炉心溶融(メルトダウン)が起こった事故。
スリーマイル島原発付近の5歳以下の子どもと妊婦に避難勧告が出されました。
当時は直接的な因果関係は解明されませんでしたが、島民にはがんが急増するなど深刻な被害をもたらしたとのこと。
原因は、疲労した作業員が機械故障を見逃したことによるものと判断されています。
スペースシャトル「チャレンジャー号」爆発事故(1986年/アメリカ)
スペースシャトルチャレンジャー号が打ち上げ直後に空中分解し、爆発したショッキングな事故です。
当時、打ち上げの映像をテレビで見ていた記憶があります。
事故は、NASAの職員が慢性的な長時間労働と睡眠不足で注意散漫となり、欠陥部品などの整備不良を発見できなかった人災が原因とされています。
原子力発電所「チェルノブイリ原発事故」(1986年/ソビエト)
定期点検中の原子炉で爆発が起こり33人が死亡、数十万人が避難することを余儀なくされました。
チェルノブイリ原発事故は、今なお世界中に放射能が広がった史上最悪の原子力発電所事故として記録されています。
共産国家であるソビエト連邦政府はパニックや機密漏洩を恐れて事故を公表せず隠ぺい、周辺住民の避難措置も取らなかったため、付近の人々は事故を知らぬまま放射性物質を浴びて被曝しました。
事故後、原発周辺は国際原子力事象評価で最悪のレベル7と判断され数十キにわたって人の住めない土地となりました。
また、約350kmの範囲内にはホットスポットと呼ばれる高濃度汚染地域が局地的に数多く存在することに。
がんや白血病との因果関係を証明することは難しいものの、数多くの人々が放射線被曝による後遺症で悩まされ続けることになりました。
この事故もまた、疲労した作業員のミスとが原因とされています。
石油タンカー「エクソンバルディーズ号」原油流出座礁事故(1989年/アメリカ)
石油を満載したタンカーエクソンバルディーズ号がアラスカ沖で座礁した事故です。
その際、流失した原油は約1,100万ガロンにも及び、なんと約1,600qもの長さの海岸線が汚染されました。
清掃費用は21億ドル(約2,200億円)におよび、海鳥約50万羽、ラッコ約5,000頭などその他膨大な数の野生動物が死亡したと推定されます。
事実、これまで海上で発生した人為的環境破壊のうち史上最悪のタンカー事故となりました。
事故の原因は、航海士が過度の眠気によって居眠りをして警告音に気づかなかったためと言われています。
客船「スタープリンセス号」座礁事故(1995年/アメリカ)
乗客1,568名、乗員639名を乗せた客船「スタープリンセス号」がアラスカ沖ジュノーで座礁した事故です。
その際に船底の損傷やオイルタンクの破裂で修理費総額は2,000万ドル(約20億円)にも及んだそうです。
米国交通安全調査委員会(NTSB)の調べによると、船の航海士が睡眠時無呼吸症候群のため疲労状態にあったことが原因であると報告しています。
JR山陽新幹線「ひかり126号」オーバーラン事件(2003年/日本)
山陽新幹線の運転手が時速270qで運転中に、約8分間約30Kmにわたり居眠りをしたことが発覚しました。
新幹線は、自動列車制御装置が作動し岡山駅ホームの途中で緊急停車したため幸いにも大事故発生にはなりませんませんでした。
事件発生時、車掌に起こされるまで熟睡していた運転手は、後の検査で重度の睡眠時無呼吸症候群と診断されました。
数えきれない程ある日常生活での睡眠障害が原因の失敗や事故
サイト内の睡眠障害による人身事故でついに逮捕者!全国初、危険運転の疑い、でも記載しましたが、大事故だけでなく交通事故から日常生活の些細なものまで含めると身近に潜む睡眠障害による事件や事故の危険性はどこにでも存在します。
アメリカの専門調査機関によれば、ハイウェイで事故を起したトラック運転手の約75%が睡眠時無呼吸症を含め、何らかの睡眠障害をもっていたとの驚くべき報告もあります。
睡眠や疲労の蓄積を甘く見て放置してはいけません。
これらさまざまな事故を誘発する前に、潜在的な睡眠障害をいかに未然に防ぐことができるかが、引き続きの課題となってくると思います。