あの芸人がレム睡眠障害?睡眠中の寝言や行動で11回も途中覚醒
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睡眠中に寝言をいったり、寝ぼけてトイレ行ったことなど覚えていないなどの経験は少なからずあるかと思います。
しかし、度重なる覚醒や異常行動は、睡眠障害である可能性が大きいようです。
お笑い芸人「ザブングル」の加藤歩さんが、以前にTBSの医療バラエティーテレビ番組「名医のTHE太鼓判!」に出演されました。
その放送中に、専門家の検査の結果、彼の寝起きの疲労度年齢が55歳と判明しました。
疲労度を計測する検査結果では、最近の疲労ではなく慢性的が蓄積されている様子。
しかもその慢性的な疲労は、睡眠障害の可能性があることを指摘されていました。
出演した医師によれば慢性的な疲労の蓄積は睡眠の質に問題があることを多いとのこと。
番組では疲労感に深刻な悩みを抱える加藤さんの私生活に密着。
休みの日は、家族といっしょに昼間からゴロゴロし一見疲労やストレスとは無縁かと思われていましたが、問題はやはり睡眠時にありました。
驚きの睡眠中の寝姿と検査結果!
指にパルスオキシメータと呼ばれる、睡眠中の酸素飽和度を計測し睡眠時無呼吸症候群の可能性を調べる機器を装着。
そして睡眠中の様子を暗視カメラで撮影したところ彼は驚くべき行動をしていたのでした。
加藤さんは夜中に何度も寝言を言って、まるで起きているかのような異常行動をとっていたのです。
もちろん、本人には途中で覚醒している自覚症状がありません。
番組によれば加藤さんの睡眠時間は深夜0時半〜朝7時半までの7時間でしたが、眠りが浅くなるレム睡眠中に何度も覚醒して、実際に眠れていたのは5時間のみとの検証結果。
途中覚醒も11回にも及んだことが明らかになりました。
寝言や寝ぼけは浅いレム睡眠中に覚醒を起こしている
寝言と途中覚醒で睡眠障害が発覚した加藤さんのようにはっきりとした寝言は、本来は睡眠中で休んでいるはずの脳がしっかり休めていないという証拠です。
夢もまた眠りの浅いレム睡眠中に見るものです。
通常は、レム睡眠中は脳から筋肉への指令も機能しないため弛緩して動きません。
実際に頻繁の寝言や体動は「レム睡眠行動障害」という病気の前兆である可能性も指摘されています。
レム睡眠行動障害では、通常は体が動かないはずの体が動いてしまうからです。
ウィキペディアによれば
レム睡眠時には脳は覚醒時に近い活動をしており、全身の骨格筋は緊張が低下している。そのため、通常であれば夢で見たことを行動に起こすことはないが、レム睡眠行動障害は何らかの原因で筋緊張の抑制が障害されるために夢で見たことをそのまま行動に移してしまうこと。
その症状は、睡眠中に大きな声での寝言、起き上がる、奇声を上げる、笑う、怒る、怖がる、手足を激しく動かす、暴れるなどの行動のようです。
専門家によればレム睡眠行動障害の原因は、ルツハイマー病とよく似た症状のレビー小体型認知症やうつ病の前兆であるケースもあるようですが殆どの人に特にこれと言った疾患がなく原因不明という場合が多いとのこと。
また、比較的高齢の男性に多いのも特徴的です。
レム期睡眠行動障害と考えられた睡眠中の行動は睡眠時無呼吸が原因の可能性もあり
いろいろ文献を調べてみると、加藤さんの同じようなレム期睡眠行動障害と疑われた51才の男性がビデオ監視下のもと終夜睡眠ポリグラフ検査の行い、無呼吸症候群の診断を行った症例を見付けました。
以下にその詳細内容を記載いたします。
【男性の症状履歴】
20代前半ごろ:結婚当初より奥さんからいびきや寝言を指摘され、時々大声ではっきりした寝言を言っていた。
10年前ごろ:寝言に加え体の動きも伴ようになり、また寝言の頻度が増えてきた。
3年前ごろ:ベッドや枕を叩いたりするなどの異常行動を起こすようになり、奥さんが途中で起こすようになった。
その際の寝言や異常行動は、一晩に2時間ごとに2〜3回現れる。
奥さんが途中で覚醒させた直後は、夢の内容を語ることが出来た。
夢の内容は仕事の夢が中心で、「顧客からのクレーム対応」や「部下を叱る」など不快な内容でが多かった様子。
1年前ごろ:それらの寝言や異常行動に加え、いびき、熟睡感の欠如、日中の眠気を伴うようになり病院を受診することになった。
終夜睡眠ポリグラフ検査の結果は重度の睡眠時無呼吸症と判定される
【終夜睡眠ポリグラフ検査の結果】
・無呼吸61回
・低呼吸141回
・無呼吸+低呼吸合計回数:202回
・無呼吸低呼吸指数(AHI):30.6回
となり、1時間当たりの無呼吸低呼吸指数(AHI)が 30.6回という重度の閉塞性無呼吸症候群と診断されました。
無呼吸低呼吸指数(AHI)指数につきましては「睡眠時無呼吸症候群の診断基準」を参照願います。
また、終夜睡眠ポリグラフ検査とビデオを照らし合わせてみると睡眠中に見られた寝言や奇声、体の動きは、無呼吸や低呼吸がにより、レム睡眠、ノンレム睡眠中に限らず途中覚醒した際に現れることが判明したとのこと。
対策としては、CPAPによる治療で1ヶ月後には無呼吸低呼吸指数(AHI)が 4.9回と劇的に下がり、睡眠中の寝言や奇声、体動も解消されたそうです。
(文献参考:レム期睡眠行動異常症と考えられたが睡眠中の行動は閉塞性睡眠時無呼吸が原因であった1例)
寝言や奇声、体動では睡眠に関する病気として判断できない
寝言や奇声などは、単純に寝ぼけているだけで誰にでもある症状と考えがちですよね。
今回の男性のケースもそうですが、病院ので精密検査を受けるまでに約30年の時間を必要としています。
その間に睡眠時無呼吸症が少しずつ進んでいたのだと思います。
ただ、無自覚の本人はもちろん、家族が睡眠に関する病気として判断することはなかなか難しいようです。
これらの症例を踏まえて、心当たりのあるご家族は睡眠外来などのある専門医にまずは相談してみることをお勧め致します。