睡眠時無呼吸症による睡眠不足が腸内環境を悪化させる原因

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睡眠時無呼吸症による睡眠不足は腸内環境を悪化させる

腸内環境にも悪い影響を与える

最近、何かと話題の腸内細菌ですが、睡眠時無呼吸症や不眠、睡眠障害などによる睡眠不足は腸内環境にも悪い影響を与えることが分かっています。


いったい睡眠不足状態が続いた人の腸内ではどのような良くない変化が起きているのか知っておきたいですよね?


腸と脳は、お互いにホルモンなどの神経伝達物質を送り合っています。


腸内に脳から分泌されるホルモンによって腸の働きが変化し、逆もまたしかりです。

自律神経の乱れが腸の働きを低下させる

自律神経

 

自律神経とは、自分の意志では働かすことのできない「体の機能を自動的にコントロールしている神経」のことを言います。


その自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2つの神経があり、お互いが相反する作用を行ってバランスをとることにより体の機能を正常に働かせています。

睡眠時無呼吸症候群が原因のリスク〜腸内環境の悪化

 

交感神経は、身体が活発に活動するとき、緊張しているときに優位に働きます


交感神経が働くと、心臓の働きが活発になって鼓動が早くなり、瞳孔が開き、血管が収縮し、胃腸の働きが抑えられるなどします。


副交感神経は、身体がリラックスしているときに優位に働く、寝てても働く神経です


心臓の働きが緩やかになり、瞳孔が縮小し、血管が拡張し、胃腸の働きが活発になります。


昼間の緊張をゆるめ、心身を休息させるための神経になります。


このように自律神経は、交感神経と副交感神経が1日の生活リズムや環境の変化にそれぞれが対応し、制御し合うことで私たちの健康は保たれている訳なのですが、腸の運動などの働きをコントロールしているのが副交感神経です。


睡眠ホルモンの原料の殆どが腸内で作られている

不眠
例えば、心臓の動きや呼吸、胃腸の働き、血液循環などは、私たちが意識しなくても勝手に調整されますが、この機能をコントロールしてくれているのが自律神経です。


一方、不眠もまた同様に交感神経や副交感神経の乱れにより体内時計の役割をもつメラトニンいう睡眠を誘うホルモンが上手く作用しなくなることが考えられます。

 

メラトニンは覚醒と睡眠を切り替えて、自然な眠りを誘う作用があり「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。


このメラトニンの原料はセロトニンという睡眠とは切っても切れない大切なホルモンですが、実はセロトニンの殆どは腸で生成されるのです。

セロトニンとは脳内で働く神経伝達物質の一つ

朝日を浴びる


セロトニンは、体内でとても重要な役割を果たしている三大神経伝達物質の一つです。


残りの神経伝達物質2つは、ドーパミンとノルアドレナリンと呼ばれるのものです。

セロトニンは、ノルアドレナリンやドーパミンの分泌のバランスをコントロールし、精神の安定を図る上で欠かせない物質です。


精神を安定させ、幸福感を生み出す役割を担っています。ノルアドレナリンやドーパミンの分泌のバランスをコントロールしてくれる舵取り役的な存在です。


このセロトニンが睡眠に深くかかわっているのは快眠ホルモンであるメラトニンの原料となるためです。


メラトニンには、季節のリズム、睡眠・覚醒リズム、ホルモン分泌のリズムといった 概日リズム(サーカディアンリズム)を調整する働きがあります。

 

セロトニンとメラトニン


従って、質の良い睡眠を確保するためにはメラトニンの働きがカギを握ります。


メラトニンは、朝日を浴びてから約14時間後に分泌が増えはじめます。


このメラトニンがたくさん分泌されるので眠くなるわけですが、メラトニンをしっかり分泌させるためには、メラトニンの材料であるセロトニンが日中にしっかりと分泌される必要があるわけです。


昼間はセロトニン夜間はメラトニンという2つのホルモン分泌の流れが良い睡眠をもたらす

セロトニンの90%は腸内に存在してる

 

このセロトニンの殆どは実は腸内にあります。


セロトニンは人の体の中に10mgほどしか存在しない神経伝達物質ですが、脳内で全体の2%ほど、血液中に8%、そして残り90%は腸内に存在してるのです。

 

腸のセロトニンは、腸クロム親和性細胞という細胞で生成され分泌されます。


生成されたセロトニンが体内に分泌されると、腸の運動も活発になります。


ところが、腸内環境が悪いと腸内のセロトニンが脳まで上手く運搬されず、脳内でセロトニン不足の状態になります。


するとその結果、睡眠障害はもちろん、うつ病など精神的な病の原因となることも分かってきました。


子供の睡眠時無呼吸症候群の主な原因

 

腸が別名「第二の脳」と呼ばれる理由の一つがここにあるようですね。


従って、腸内環境の改善は腸の持つ従来の消化機能を助けるという意味以外にもセロトニンが脳や睡眠に与える影響という観点からも非常に重要なのです。


睡眠時無呼吸症候群や不眠症などによる睡眠不足は、腸内環境の悪化につながり、うつ病など精神的な病の原因ともなり、さらなる睡眠への弊害という悪循環につながる危険性を含んでいるのです。

腸内細菌や腸内環境を整えることで睡眠の質が向上


腸内にはなんと100〜1,000兆個もの腸内細菌が生息すると言われています。


私達の細胞が60兆個と言われているので最大で15倍以上もの数の細菌が生息していているわけです。


腸内細菌は、善玉菌と悪玉菌と日和見菌という3つに分れており、それぞれが日々バランスを取りながら身体の健康と密接につながっています。


特に数多くの腸内細菌が密集して生息しているところは、その姿がまるでお花畑(意味:フローラ)のようであるから「腸内フローラ」と言われているようです。

腸内細菌と腸内フローラ


そして、睡眠のリズムが不規則になると腸内フローフも同様に変化します。


これも最近話題になりました、ショーン・スティーブソン氏の著書「SLEEP〜最高の脳と身体をつくる睡眠の技術」からも学術的にも睡眠と腸内環境は密接な関係になることが、明らかなようです。


学術誌『セル』に掲載されていた研究によれば、人の体内時計は細菌のバランスに影響を受けることがわかった。


腸内細菌に独自の体内時計があり、日常生活で通に起こりうる時差ボケなどの出来事を経験するだけで、腸内毒素症が生じ、代謝異常を招くのだ。


その研究チームは、10時間のフライトによって時差ボケが生じる前、フライト中、フライト後で被験者の便を採取して分析した。すると、肥満や糖尿病の人に多く見られる種類
の細菌の数が、時差ボケ後に増加していた。

そして、被験者の睡眠のリズムが通常に戻ったとたん、その細菌の数は正常値まで下がったという。


だから、徹夜したり、寝不足になったりすれば、日和見菌に腸を(ひいては脳も)のっとられる機会を生むことになるのだ。

睡眠不足は、食べものを選ぶときの判断力の低下や過食を招くことも実証されている。どちらも日和見菌に主導権を握らせる行為だ。日和見菌だって、生きるのに必死なのだ。


UCLAの研究では、腸内に何兆個と存在する細菌が第二の脳である腸神経系と絶えず情報をやりとりしていることも明らかにされている。また、カリフォルニア工科大学の研究者は、セロトニンの生成に重要な役割を果たす細菌が腸内に存在すると発表した。


いずれにしても、無呼吸症による睡眠不足や不眠症などと腸の関連性についてはまだまだ解明途中の部分があるとは思います。


しかし、腸内環境の働きが悪くなると睡眠にも悪影響を与えるということは間違いない事実ようです!

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